携帯電話うだ話

 先日PHS端末の機種変更に家電量販店に行った折,同じカウンターでNTTドコモの端末を機種変更している男性の携帯電話端末を見てびっくり。なにしろ大きい。直前まで使えていたのだから,さすがにアナログじゃないだろうとは思ったけど,相当な年期ものらしい。「あまりに古い機種なので電話帳のコピーができない」と店員が言っているのが聞こえてきた。気になったので帰宅してから調べてみたら,どうやら「デジタル・ムーバN101 HYPER」のようだ。そういや昔ムーバ使ってたなあ,と筆者が使ってきた移動体通信の機種を思い出しながら検索してみると,意外とあの時代の携帯電話の情報は少ない。

 ところで,昭和30年代の家電製品の情報やら現物が少なくて,当時のドラマを作るときに苦労するという話を聞いたことがあるが,今のうちにバブル期~90年代半ばを再現するドラマを作るためにショルダーホンとか自動車電話をかき集めておいたほうがいいような気がする。特に最近は商品サイクルが異常に早いので,こういったデジタル系小道具の需要は将来増えるだろう。

 閑話休題。筆者が最初に持ったのはAstelのPHS。たしか1996年の秋ごろで,まだ直接携帯電話にはかけられないとか,携帯電話自体も遠隔地や海上にいるときは030/040と番号を変えなければならないとか,いろいろ制限があったような記憶がある。端末は松下製のA231(青色)。黒くて重い携帯電話に比べ,小さくて色もきれいなPHSは飲み屋のおねーちゃんに珍しがられた。しかし主に待受を目的として契約したにもかかわらず,自宅にいても圏外になることが多いため,業を煮やして着信が確実な携帯電話にスイッチした。

 価格面を中心に比較検討した結果,NTTドコモ(NTT移動通信網=当時)の1.5GHz帯ディジタルを選択。端末は「デジタル・ムーバP151 HYPER」だった。今,部屋を探してみたら出てきたので触ってみると,電池パック部分は弱いものの最新機種に比べてしっかりがっしり作ってある。そういえばいつから電池パックのSとLはなくなったんだろう。このころIDO/CellularではまだTACSなどのアナログも残っていて,「ディジタルのほうが音がいい」などという話も聞いたが,今から思えば単に「ディジタル」という言葉に惑わされていただけだったように思う。

 ところが,この1.5Ghz帯のサービスは関東・東海・近畿圏だけ。しかもPDCだからPHSに比べてあまり音がよくない(それでも今のPDCにくらべればずいぶんマシ)。さらに,ノートPCを買ったので「外出先でもデータ通信をしてPCのメイルが読んでみたい」と思い,再びPHSにスイッチ。当時知人がDDI Pocketを使っていて電波の状況はよいと聞いていたのと,ただでメイルができる裏技(テレネーム)があるということで,DDI Pocketと契約。その後は,都市圏に在住している限り音質は最高で地下も完璧ということで,機種変更を繰り返しながら,現在に至っている。まあ,今は端末でのPC向けウェブ閲覧が定額,PCに接続してデータ通信しても定額,POP/SMTP叩いてプロバイダのアカウントのメイルまで送受信できるので,ほんとにいい世の中になったもんだ。