[01-11-1995]琉球・台湾 #2‐那覇航路その2

 朝,目が覚め船内のカフェテリアで朝食をとり,船内をいろいろ散策してみる。後部デッキに出ると板張りで,リクライニングチェアなどがおいてあり,四方の海を見渡しながらゆったりと過ごすことができる。この日は天気もよく,青空の下で水平線を見ては地球の丸さを実感した。後部デッキには他にもいろいろと遊べるようになっており,ダイビングプールやサウナ,ジャグジーなどが設置されている。もっとも11月ということもあり,それらの施設を利用するには残念ながら少し季節がはずれていた。

板張りの甲板
板張りの甲板から太平洋を眺めると気持ちがよい。

 われわれは時間つぶしに船内にある「飛龍カントリークラブ」でゴルフに興ずることにした。ご大層な名前であるけどもスクリーンに向かってゴルフボールを打つだけのただのゴルフシミュレータだ。レセプションカウンタで申し込みをしたが,当然というかわれわれ以外の利用者はいないようだ。二人ともゴルフは全くの初心者で,目を覆いたくなるほどひどいスコアだった。周囲の人目がないので助かったものの,そうでなければ赤面ものだ。しかし,なんだかんだといいながらもそれなりに楽しく,レセプションで時間延長をしてもらい,さらにゴルフごっこに興じた。

 昼はカフェテリアであまりおいしくないリゾットを食べたが,いろいろな船旅行を経験している碧山老師によると,比較的よいほうらしい。碧山老師が言うには,中にはあらかじめ乗船時にプリペイドカードが手渡され,食事はそのプリペイドカードを使って自動販売機でインスタントものを購入させる船もあるということだ。確かにそれに比べれば格段によいことにはかわりない。昼食後には船内の売店でブルーシールのアイスキャンディーを買ってデザートに食べた。種類はペパーミントチョコなどの琉球ならではのアメリカ風であったが,われわれはウべのアイスキャンディーを選んだ。ウベとは「紫山イモ」として知られるもので,イモの中身が赤紫色をしているのである。このアイスキャンディーはこれを原料としており,まったりとした味が非常に美味しく,大変気に入った。

 何をするでもなくのんべんだらりと船上ライフを満喫して過ごしているうちに,海が時化てきた。白い波頭もたっており,船体も大きくローリングするなど,その荒れ具合は結構なものだった。船内を歩いてみると,みんな船酔いを起こして部屋でじっとしているようで乗客の姿はあまり見えなかった。そんな時化のなかでも,パワーのある船らしく,速度を落とすことなく宮崎県の都井岬沖を通り,大隅半島と種子島の間の大隅海峡を通過する。すでに夕方近くなってきており,屋久島の宮之浦岳に西日があたっていた。宮之浦岳は標高が2,000m近くあり,九州で一番高い山ということだ。

甲板からの眺め
甲板からの眺め

 夜になり,メインレストラン「セブンシーズダイニング」に行き,船上で知り合った某大学の学生君も交えて3人でディナーをとることにした。料理もそれなりでピアノの生演奏などもあり,雰囲気も上々であったが,ここでも船会社の思惑とは異なりゆっくりと食事をしようとする乗客の姿は少なかった。

 食後,キャプテンズ・バーに3人で赴き,酒でも飲もうと相成った。カウンターの中にはバーテンと日米の合いの子らしい女性が手持ちぶさたそうにおり,妙なところで異国情緒を感じさせた。最初,カクテルを飲もうと思っていたが,どうやら泡盛があるようなので「せっかく琉球に行くことだし」と泡盛の古酒 (クース) を頼んでみた。そのときまで恥ずかしながら,泡盛は土方が呷るようなアルコール度数の強い安酒で,焼酎のようににおいの強いものだと思っていた。しかし,甕から出されて琉球ガラスのグラスに注がれた古酒の香りにまず驚き,次に口に含んでみたときのそのまろやかさに一気に悩殺されてしまった。あまりアルコールを嗜まない碧山老師もこの泡盛には感服していたのが印象に残っている。このバーでの体験以降,泡盛は小生のアルコールライフの一翼を担うようになってしまった。ちなみにこのバーも雰囲気はよかったが,やはり利用する客はほとんどおらず,船会社の意気込みだけが空回りしているようで非常に残念だった。