yen-rakuちゃんの悪戦苦闘疲労困憊 vj 日記

#2


Sat 11, Dec
 スクリーンは湾岸の某所にある営業所から借りる手はずになっており、この日の午前中もしくは夕方に引渡しができるということであったので、午前中に営業所に向かう。周囲は木材問屋ばかりの閑散とした場所のなかにある営業所を訪れると、話はきちんと通っており、安心する。しかし、「これですね」と手渡されたスクリーンは重厚長大という昔の基幹産業を表現する四字熟語がふさわしい代物だった。「こ、これはちと大きいですねえ、大丈夫かなあ…」「ウチの人間、地下鉄で運んだことありますから大丈夫ですよ、あっはっは」…。

 午後から、某演出家氏の番組を一手に引き受ける、以前の小イモのときにも世話になったヘアメイク氏にカットをしてもらおうとバスを待っている間に電話を入れると留守番の男性が「15日までロケに行っていないんです、済みません。わたし自身も今日・明日は予約が入っていて…」。う〜みゅ、ま、いっか。

 路線バスに乗車する段階でいきなり天井にぶつけそうになるなど四苦八苦。先が思いやられる。営団地下鉄の駅に到着し、午後から会う約束をしていた知人に連絡する。「あのー、ちょっと大変で…、おまけに時間空いてしまったので、スクリーン持って歩くわけにもいかないし」。ともかく、有楽町で落ち合うことに決める。時間つぶしにえっちらおっちら夢の島に行き、PowerBook 2400c+PHS からネットを通じてロレンちゃんたちに窮状を訴えるが、「オレはいっつもそんなの持って移動してるよ。大丈夫大丈夫」と旧日本陸軍のようなマッチョで闇雲な精神論でロレンちゃんになだめられてしまったところで、なんの解決策にもならなかった (註:あとでわかったことだが、車を回そうか? などの援助の手もあったようだが、メイルの読み書きなどができたのはこれが最初で最後の機会だった。ここでネットをしたことが伏線となって後で再び試練の路を歩むことになる)。

 有楽町で待ち合わせ時刻までに時間があったので、まずコインロッカーを捜し、手荷物を一つ放り込む。この時点での荷物は 1.重厚長大スクリーン、2.PowerBook が入った鞄、3.いろいろ入ったごつい鞄、の3つで、字面だけでも自動改札機を通過するのが困難であるのが容易に想像できよう (苦笑)。ちょっと身軽になりたかったので交通会館に入り、ジュースの自販機コーナーの死角となるところにスクリーンを立てかけて、インズ (首都高速高架下) やプランタン銀座などをぶらぶらして時間をつぶした後、知人と落ちあい甘味処で時間を過ごした。で、移動するか、と交通会館に戻るとなんとスクリーンがない。「館内警備中」とか張り紙があったのを見ていたので、おそらく警備員に撤去されてのではないかと推測し、警備室に行く。

 「すみませーん、あのう忘れ物をしたんですが届いていないですか?」と尋ねる後ろにスクリーンが見える。しかし、ひとまずここでは気がつかない振りをしておく。「どんな忘れもの?どこで?」「えーっと、スクリーンなんですけど、細長くて…。自販機の陰に置いていたんですが (下手に出るyen-raku)」「ちゃんと管理しておかないと、持って行かれるよ〜 (優位に立つ警備員)」「はあ、そうなんですけど、ちょっと喫茶店には持って入られないので置いていたんですぅ (困ったような表情を作る yen-raku)」「これでしょ (得意そうな警備員)」「あ、これですこれですぅ (非常に安堵したような表情を作る yen-raku)。いやあ、ありがとうございます、助かりました (ひたすら下手に出て好印象を与えるyen-raku)、受領書とか書かなくていいんですか?」「んじゃ、ここに住所と名前とサインしておいてね (なんとなく優越感に浸る警備員)」。

 結論から先に言うと、ただで預かっていてもらったようなもんだから、相手を機嫌良くさせないといけないということですね。これが人間関係を円滑にする秘訣です、ってそれが日頃からできていたら苦労しないんだけどさ (苦笑)。交通会館を出てから「で、これからどうする??」。ずっと預かってもらっていたほうがよかったような気もするが、しょうがない。会場となる宮地楽器に預かってもらおうかと電話するが「保管の責任が持てない」と NG。とりあえず、有楽町から移動することにした。

(この項つづく)


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