2つ下のメモで加藤和彦の話題を書いたが,よもやの最期に呆然となった。ニュースではフォークルやフォーク時代,せいぜいよくてミカバンドのエピソードを取り上げるばかりで,ソロ作への言及がないのは知名度や話題の引き具合からいってしょうがないとはいえ,やはりもう少し評価されてもいいのにと思う。
加藤和彦の浮世離れしたスノッブな生活,イギリス趣味へのの傾斜はよくいわれていることだが,「もしも加藤和彦だったら」でこんなくだらない話をよくしていた。「これさ,オックスフォードストリート(ロンドン)で見つけたんだ。ZARAみたいで安いんだけど,なかなか悪くないね」というシャツを見ると,わざわざ高いポンドで買ってきたユニクロの服だった――。
もっとも,経済環境がよくない昨今,奢侈にかぶいた生活は楽ではなかったようで,地下にスタジオのある六本木の住宅は5億円強で売りに出されていてまだ買い手もついていない,といった話もあり,実際にそれらしき物件を「Yahoo! 不動産」で見ることもできた。還暦をすぎ,ストイックな人間ほど症状が重くなる鬱がのしかかると同時に,スノッブなイメージを維持することに疲れ,安井かずみを失ったことがいまさらながら響いてきていたのかもしれない。