カメラといってもデジタルカメラではなく,銀塩カメラ(フィルムカメラ)の話。
筆者は現在もデジタルカメラと併用して銀塩カメラを使っている。その理由はというと,写りもいいし,故障もしていないということに加え,やっぱり愛着があるというのが大きい。最近ではDPEラボに頼めば現像・プリントと同時にCD-Rに焼いてくれるので,PCに保存もできる。
使っているのは富士フイルムのカルディア・ミニ TIARAとリコーのGR-1sで,どちらも28mmの単焦点レンズ搭載のAFコンパクトカメラ。
TIARAはダルフィニッシュのアルミニウム外装が特徴。当時としてはコンパクトで上品なデザインだった。その後デジタルカメラが出現すると外見の印象からから「それってデジカメ?」とたびたび聞かれたものだった。
デザインもさることながら,「コンパクトで高画質」がセールスポイントで,いわゆるバカチョンカメラなのに露出補正調整が効くのでリバーサルフィルムが使えるのもウリだった。富士フイルムも力を入れていたのか,作例をふんだんに載せた豪華な小冊子形式のパンフレットまであった。カメラ屋の主人が「これはレンズもいいし,富士にしては珍しくいいカメラを作ったよ」といっていたのが印象に残っている。
広角,単焦点という慣れないカメラで当初はとまどったものの,次第に慣れてくると写りもいいし,四隅に出るケラレ(口径食)も味があるので,出かけるときのお伴になった。そうすると人間はだんだん欲が出てくるもので,もう少しいいカメラが欲しくなってくる。そのころにはデジカメは持っていたものの,やはり単焦点でそこそこいいレンズを載せたコンパクトカメラを手に入れたい。評判を耳にしていたリコーのGR-1sに目をつけたが,そうこうしているうちに,リコーも含めてほとんどのメーカーが銀塩カメラの生産をやめてしまった。結局,中古でそこそこ美品のGR-1sを手に入れた。
リコーといえば,小学生のころ,筆者は父親のカメラを借りて行楽時などに写真を撮っていたが,自分専用のカメラが欲しくなった。そこで,すでに父親が使わなくなったリコーのポケットカメラを使わせてもらうことにした。ポケットカメラはカートリッジ式の110フィルム(いわゆるポケットフィルム)を使うカメラで,筆者が使っていたのは横型かつ銀色のポケットカメラだった。当時の感覚からするとおよそカメラっぽくなく,かっこよく見えた。これを書きながらリコーのサイトで調べてみると,「リコマチック 110X ポケットデラックス」だったらしい(http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/ricoh-filmcamera/cameralist/110_X.html)。リコーはこの横型スタイルに思い入れがあったらしく,デジカメになっても発売当初しばらくは横型のモデルをリリースし続けていた。