上には上が

 坂本龍一の『左うでの夢』はたいしたことのないアルバムと長年思っていた。ところが,LPで聞くと仙波清彦のパーカッションがくっきり聞こえ,非常に音の響きがよく,もったりとした坂本龍一自身のドラムも相俟って気持ちいい。CDは音がしょぼかったんだ。坂本先生,すみません。
 ともあれ,’80年代までのサウンドはCDよりLPのほうが音の響きというか艶がはっきり違う。とりわけ打楽器やピアノ,アナログシンセの音色に違いが顕著にでる。ジンギスカンあたりのディスコサウンドもゴージャス感が3割くらい増す。
 CDの素材を変えたりして音質が向上したと謳うSHM-CDやらブルースペックCDとも聞き比べしてみると,SHM-CDはふつうのCDよりきれいな音だけど,音が硬い感じがするので,結局,レコードに軍配が上がる。
 ——そう思っていたら,数日前の日本経済新聞の文化面で「まじ,SPレコードすげえ! エルヴィス・プレスリーが目の前に甦る! 今までのCD・LPとは全然違うですよ!!!!111」(大意)という記事があった。そうですか,LPよりやっぱりSPのほうがいいですか。やはり,ものごとは上には上があるということで。
[追記]
 数カ月前,中古レコード店の半額セールでQueen「Radio Ga Ga」の12インチシングルを購入した。12インチシングルなのでLPよりさらに音がよく,打ち込みの厚さなども際だっている。12インチシングル自体が珍しかったせいなのか,タスキに「快感!おもしろシングル」と銘打ってあるのはご愛敬。いったいなにが「おもしろ」くて「快感」なんだろう…