[XX-10-2019]インドネシア ‐ ジャカルタ #1

※この項,更新予定あり。
朝,京成スカイライナーで成田空港へ。ラッシュ時でも所要時間があまり延びていないのはたいしたもの。出発ロビーで出国審査場の自動化ゲートの利用者登録を行う。5分程度で作業は完了。法務省の職員に自動化ゲートを利用すると旅券への証印が省略されるとの説明を受け,他国入国時の不利益の有無を訊くと,「基本は問題ないが,インドや中国など一部の国で入国時にトラブルになったという報告がある」というので,ゲート通過後に念のため係員に押印してもらう。国際線でも搭乗券発券に並ぶことなくスマートフォンのQRコード提示だけで済むし,出入国審査も自動化されれば,行列嫌いの筆者にとっては機械化さまさま。

免税店で軽く買い物をして,エアラインのラウンジでカレーライス,サラダとビールの遅めの朝食をとる。期待していなかったプレミアム・エコノミーはシートピッチが広いだけあってそこそこ快適。すっかり薄暮のスカルノ・ハッタ空港に到着。外国の空港に降り立った瞬間の気温やにおい,空気の感触が好きだ。

スマートフォンのSIMカードを買うために,ターミナル3の国際線到着フロアの反対側に位置する国内線到着フロアにあるTELKOMSELの店舗GraPARIまで歩く。南国特有のゆっくりした窓口対応なのでしばし順番待ち。GraPARIではカード払いができないのでインドネシアルピアを引き出そうとしたら複数の金融機関のATMで「取扱いできない」と表示され焦るが,別の場所にある違う金融機関のATMで引き出せて一安心。SIMは3日間有効でデータ量3GBに設定してもらう。APNの設定などは不要のようだ。なお,SIM購入時には店員にパスポートのコピーを取られる。事前に日本でTELKOMSELのアプリ「My Telkomsel」をインストールしておいたので,SIMの電話番号を登録。このアプリではデータ量の残りなどが確認できる。

My Telkomselの基本メニュー
My Telkomselの基本メニュー。利用可能なデータ量が表示され,データパックの追加購入もできる。電話番号部分は一部画像加工済み。

回線開通後,クレジットカードの登録などは日本で設定するとうまくいかないなどの情報があったので,日本であらかじめインストールしておいた配車アプリGrabの設定を行う。なお,カード情報の入力時に3Dセキュアの設定を求められるので注意が必要だ。

空港の各ターミナルを結ぶ無料の新交通・スカイトレインに乗車。ターミナル2駅の次,スカルノ・ハッタ国際空港駅で下車。そのまま直結している空港連絡鉄道Railink(レイル・リンク)の乗り場に行く。自動券売機ではタッチパネルで下車駅を指定し,電話番号を入力して,クレジットカードで運賃を支払う。現金は使えない。係員に電話番号は実際の番号である必要はなく「0」でよいと教えてもらう。

レイル・リンクの車内
空席が目立つレイル・リンクの車内。東南アジアでよくあるように強い冷房で肌寒さを感じるほど。

発車間近の列車に乗ると,タクシーやバスに比べると運賃が割高なせいか車内は空いていて快適。有名なジャカルタの渋滞を考えれば,夕方はなおさら時間が読める鉄道のほうがよいだろう。途中スイッチバックで進行方向が変わったりしながら終点のManggarai(マンガライ)駅に到着。最近レイル・リンクの乗り入れが開始されたばかりのようで,構内はコンクリートがむき出しになっているなど工事半ば。そのせいか在来線への乗り換えの導線がわかりづらい上に中間改札がなく,在来線のきっぷの買い方がよくわからない。駅員に尋ねると,隣にいた親切な中年女性がホーム上にある券売機に誘導してくれて,在来線ICカードの買い方を教えてくれた。さらに少額紙幣をもっていなかったので,運賃まで払ってくれた。

複数の路線が乗り入れるターミナルであるマンガライ駅は,乗降客が多いにもかかわらず,ホーム間の移動はホーム中央と端にある遮断機のない踏切を渡って移動する。電車が止まっている間はホームの端までいかないと移動できない。乗り場によってはホームがなく,長いベンチのような踏み台を使って電車に乗らなくてはいけないなど,なかなか日本ではお目にかかれない光景だった。

マンガライ駅構内
マンガライ駅の構内。ベンチに見えるのは踏み台のようなホームで,ホーム間の移動はホームの中途にある構内踏切(写真中央の係員がいるところ)を使って線路を渡る。もちろん構内踏切に遮断機はない。

日本の東京メトロ有楽町線車輌を改造した通勤列車に乗ってGondangdia(ゴンダンディア)駅で降り,構内にあるコンビニでミネラルウォーターを買う。徒歩5分程度でJl. Wahid Hasyim(ジャラン・ワヒッ・ハシム=ワヒッ・ハシム通り)沿いにある昨年オープンしたばかりのホテルにチェックイン。

アグース・サリム通り
屋台が並ぶアグース・サリム通り。

シャワーで汗を流し,フロントに「jalan-jalan(散策)」と告げて外出。Jl. H. Agus Salim(アグース・サリム通り)沿いの屋台を横目で見ながら,パダン料理を出すNatrabu(ナトラブ)で遅い夕食をとる。テーブルにずらりと並べられた小皿からグライアヤム(鶏のココナツカレー)と野菜炒めをチョイス。食べない皿は手をつけなければかまわない。ムスリムの多い国なのでメニューに酒類がない一方,礼拝所があるのがおもしろい。

ナトラブの店内
いかにもインドネシア風の装飾が雰囲気を醸し出すナトラブの店内。

食後,酒を呑みにアグース・サリム通りを南下してPisa Kafe(ピサ・カフェ)へ。おなかが空いていないのでビンタンビールとアペタイザーのブルスケッタを頼む。ここではホールでライブ演奏を楽しみながら食事もできる。気軽なテラス席でビールを飲んでいると蚊に食われるのは困った。

ピサ・カフェのテラス席
ピサ・カフェのテラス席。中央奥がホール。中央の団体客の女性たちはムスリムらしく,ヒジャブ姿で煙草を吹かしながらソフトドリンクを飲んでいた。

インドネシアでは世俗主義とはいえムスリム文化が浸透しているので,普通のスーパーやコンビニエンスストアで酒類はまずお目にかかれない。この日街を歩いていると,ドア越しに欧米人がたむろしており,多少雰囲気が異なるような商店を発見したのでもしやと思い入ってみると一見よろずや風の酒屋だった。カウンターでビールを買うと,ドアで仕切られたウイスキーなどが陳列されているコーナーでその場で開けて飲むことができる。簡単なスナックも提供していてまさにジャカルタ風角打ち。持ち帰りも可能で,外から中が見えないような袋に入れてくれる。ホテルに持って帰って呑めるので助かった。