この日も朝からスモークドサーモンに舌鼓を打つ。所用を済ませた後,Þingvellir(シンクヴェリトル)国立公園に向かう。寒々しくどんよりした天気が続くうえ,車窓には荒涼とした原野の景色が広がり,索漠とした気持ちになる。おまけに冬場は日照時間も短いときているから,北欧の人が南へ太陽を求めてバカンスに出かけたくなる気持ちもわかる。
シンクヴェリトルは10世紀にデンマークからの移住者が民主制議会Alþingi(アルシング)を開催した場所として世界遺産に登録されている。アルシングが開催されていた場所とおぼしきところには国旗の掲揚台があり,そこまで行こうと試みるもその手前で路面の積雪と寒さで断念する。
この付近がユーラシアプレートと北アメリカプレートがぶつかる大地溝帯で,それらのプレートの反対側の端はぐるっと地球を半周した日本の糸魚川構造線になる。
レイキャヴィークに戻ったあと,所用先を数件まわる。その折に同行した現地ガイドが「今のアイスランドはみんな先のことも考えずに浮かれているけど,これはバブルです。そのうちはじけるでしょうけどたいへんなことになりますよ」と言ったのが妙に記憶に残っていて,その3年後それは現実になった。
現地のアテンドでアイスランド料理で有名な「Þrír frakkar(スリールフラッカル)」で夕食をとる。ヴィール(犢)のソテーや捕鯨国なので鯨の刺身を堪能。刺身は日本風に醤油とレホールで食べるのがおもしろい。