PCの買い替え

 5年前に買ったPowerBookG4 12″がそろそろメインマシンにするにはいろいろときつくなってきたので買い替えることにした。MacBookにしようかとも思ったが,やはり次も5年くらい使うだろうし,アルミボディの魅力には抗いがたいのでMacBook Proを選択。せっかく最新のPCを買うのだから,とBTOでSSD換装モデルを買おうと一瞬思うが,SSDの値段がこなれてきているのでHDDモデルを購入後,自分で載せ換えることにする。

 いつもPCを買うのは5年保証のあるソフマップ。今回もそのひそみにならって5年保証をつけてもらい,BTOでUSキーボードにしてもらう。 SSDは他店でCFDのCSSD-SM128NIをあらかじめ買っておいた。BootCampでWindowsXPを走らせるつもりだったのでプチフリーズの少ないintel製も選択肢に入ったが,費用対効果を考えて一応実績のあるCFDをチョイス。128MBあれば十分だろう。あとは取り出したHDDにケースをつけて外付けのストレージにすればよい。

 自宅に配送後,電源も入れずにバラしを敢行。いろいろなサイトを参考にし,ねじの長さに注意しながら裏ぶたを開ける。もちろんトルクスドライバも用意した。無事SSDを取り付けるが,起動して認識するまではさすがに少し緊張する。フォーマット後,OSをインストールし,リブートすると……。起動が異常に速い! いやあ,手間をかけた甲斐があるというものだ。

 PowerBookG4 12″の環境をMacBook Proに移行するにあたっては,TimeMachineでバックアップを取ってあったので,それを使えば簡単になんの苦もなく——ブラウザに記憶させていたフォームのテキストまでも——移行できた。このあたりはMacintoshの面目躍如といったところだろうか。

 それとBootCampを使って事前に買っておいたWindowsXPをインストール。あらかじめプリントアウトしておいた(これは必須)BootCampの手順書通りにこちらもさくさくと動いて小気味よい。総合的にいままで使っていたPBG4はいったいなんだったんだと思ってしまうほど快適。でも,入力ミスが飛躍的に増えたのでキーボードだけは前の方がよかったとしみじみ思う。アイソレーションキーボードとは聞こえがよいが,昔のPC-6001とかMSXといったファミリーユースのマイコンによくあったちゃちなキーボードと同じようなものではしかたがない。

点鬼簿

 ここでは「季節ネタ」はあまり扱わないけれど,今年は自分にとって印象深い人たちが多く鬼籍に入ったので年の瀬になるとそれに触れざるを得ない。ここでも取り上げた加藤和彦を筆頭に,忌野清志郎,マイケル・ジャクソン,高英男といった音楽で一分野を築き上げたスターの逝去が続いたのはかなりのインパクトがあった。音楽面での興味はなかったものの,川村かおりは昔時折オールナイトニッポンでDJを聞いていたので,年齢のこともあってちょっと驚いた次第。

 芸能・テレビ関連だと山城新伍,頼近美津子,荻原弘子,南田洋子,三遊亭圓楽,森繁久彌,大原麗子,田辺一鶴も今年だった。特に森繁久彌と田辺一鶴はいつまでもあのままで生きていそうな感じがしていたのだが。人文分野だとやはり巨星クロード・レヴィ=ストロースだろう。J.G.バラードもそうか。中島梓は作家というより『ヒントでピント』の回答者の印象しかない。あとは,江畑謙介,田英夫,臼井儀人なども鬼籍入りした。合掌。

Dr.ケスラーの憂鬱な最期

 2つ下のメモで加藤和彦の話題を書いたが,よもやの最期に呆然となった。ニュースではフォークルやフォーク時代,せいぜいよくてミカバンドのエピソードを取り上げるばかりで,ソロ作への言及がないのは知名度や話題の引き具合からいってしょうがないとはいえ,やはりもう少し評価されてもいいのにと思う。

 加藤和彦の浮世離れしたスノッブな生活,イギリス趣味へのの傾斜はよくいわれていることだが,「もしも加藤和彦だったら」でこんなくだらない話をよくしていた。「これさ,オックスフォードストリート(ロンドン)で見つけたんだ。ZARAみたいで安いんだけど,なかなか悪くないね」というシャツを見ると,わざわざ高いポンドで買ってきたユニクロの服だった――。

 もっとも,経済環境がよくない昨今,奢侈にかぶいた生活は楽ではなかったようで,地下にスタジオのある六本木の住宅は5億円強で売りに出されていてまだ買い手もついていない,といった話もあり,実際にそれらしき物件を「Yahoo! 不動産」で見ることもできた。還暦をすぎ,ストイックな人間ほど症状が重くなる鬱がのしかかると同時に,スノッブなイメージを維持することに疲れ,安井かずみを失ったことがいまさらながら響いてきていたのかもしれない。

ホール落語を聴く

 落語はたいてい浅草か末廣の定席に聴きに行くことが多いのだけれど,川柳川柳の「超特大ガーコン」を目当てにホールの高座に足を運んでみた。寄席では,トリ以外持ち時間が15分程度であるのに対して,独演会や一門会などのホール落語ではそれほど詰め込んでないことが多く,話をゆっくり聞くことができる。

 トップバッターの川柳の女流弟子はまだ二つ目だそうで,キンキンした声の質がちょっと苦手。ネタは新作で,ちょっと前半の無差別殺人うんぬんのくだりや,兵隊の言葉遣いなどのツメの甘さが気になる(★)。このあたりをもう少し詰めればおもしろい話になると思うのだけれど。個人的に意外な拾いものはゲストの林家たい平で,時間の関係でかなり端折ったにもかからわず,「湯屋番」は番台にのぼった若旦那の妄想の下りで笑わせてもらった。調べてみたら得意演目だそうで不勉強が恥ずかしい。マクラの「二代目林家泰葉」襲名というくすぐりもツボ。

 で,肝心の超特大ガーコンはというと,特大すぎて大戦前半・後半にかけてがやや散漫な印象。もっとも,全曲1番の歌詞をフルコーラスで歌うのだからしょうがないか。後半はいつもの通り絶好調で,最後にはのりのりのガーコンに。齢78ということもあり,ちょっと言葉が詰まったりするところが気がかりだったが,なかなかお元気。「そのうち戦争やるね,相手は北朝鮮だよ」に館内大爆笑。ぜひとも次は「ジャズ息子」を聞いてみたい。

 会場のホールの別フロアで鴻上尚史作・演出の「ハッシャ・バイ」を上演していて,「第三舞台かなつかしいなあ」と思いながらロビーを横切ると,大川隆法に似た下ぶくれの親父が立っていた。む,鴻上尚史本人ではないか。第三舞台の公演のときも観客に混じってロビーにいたり,手書きの「ごあいさつ」のコピーを配っていたのを思い出した。意外な人物といえばガーコンの後,三本〆に林家ペーが出てきたが,高座にピンクの鞄を置くのはマナーとしてどうなんだろう。ハネてからロビーに出てきた林家ペーは結構小さな人だった。

[★]「不幸な時代」という題のようだ。

加藤和彦についてだらだら

 CDの音がいまいちであまり聴いていなかった『あのころ,マリーローランサン』のLPをふとした機会に手を入れて以来,再聴。フォークルやミカバンドに注目が集まりがちな加藤和彦のソロ作が気になり出し,『うたかたのオペラ』『ベル・エキセントリック』『パパ・ヘミングウェイ』のLPを入手。ミカバンドの再々結成には目もくれず,その後『ガーデニア』『マルタの鷹』の復刻版なども手に入れた。特に前二者は退廃的な歌詞,陰鬱な音色がイエロー・マジック・オーケストラの中期サウンドが好きな人にもあうかも。でも「Dr.ケスラーの忙しい週末」はスカビートだし,「Radio Caraban」はチャールストンで,暗い一方でもない。そういや,加藤和彦・安井かずみコンビの高見知佳「ジャングル・ラブ」は「ルムバ・アメリカン」そっくりなんだな。それにしても,加藤和彦の,とくにソロ作はもうちょっと評価されてもいいと思うのだが…

 ところで,近年復刻されたCDではその2曲で佐藤奈々子のコーラスがカットされていたり,「ルムバ・アメリカン」の出だしがばっさりカットされているし,と評判が悪い。LPは取扱いが面倒なので悪評をふまえた上でCDも買ったが,確かにこれは文句を言われても仕方がないと思う。

 さて,こんな話(http://www.tobiraza.co.jp/blog/index.php?ID=257)があったらしい。見逃してしまったが大音響で加藤和彦の曲が聴いてみたいものだ。

うなぎ

 なぜか無性に鰻が食べたくなって7~8年来機をうかがっていた江戸川橋の石ばしに行く。ここは商売っ気が薄いのかなかなか予約が入れにくく,以前にも公私ともに親しいQ氏と行こうとしたことがあるが日時が合わず断念したことがあり,捲土重来とばかりに意気込んで電話をかけるとあっさりつながり,数日先の希望日時の予約取りに成功。Q氏は別の機会に足を運んだらしいが同様だったとの由。いろいろ調べていると1か月先でも断られることもあるようで,まったく幸運。鰻の確保のため予約の際に何を食べるか聞かれるので鰻重と白焼き,それに肝焼きとうざくをオーダー。

 店に入ってから鰻を裂いて蒸して焼くのでありつけるまで1時間をみておかねばならぬとの事前情報通り,とっぷり待たされる間,落ち着いた座敷で突き出し,うざくや肝焼き,白焼きで酒をちびりちびりと呑む。かなりの数の鰻から少ししかとれないらしい肝焼きは心臓と肝臓,中落ちを皮で巻いたものの3本。臭みをまったく感じさせない濃い内臓のうまさは絶品で酒も進む。白焼きはわさびがレホールのようで,ちょっと驚かされたが鰻の臭みがほとんどないので,これでも十分。店の人も感じがよく,とにかく酒が進む。

 さんざ待たされて,お目当てさんの鰻重が登場。焼きは外は香ばしく,中はふんわり。たれは若干しょっぱめの味付けでしつこくなく非常に好み。ご飯もおいしい。こりゃ赤羽橋の野田岩より数段上だ。以前一緒に野田岩で白焼きと鰻重を食べたQ氏に後日聞くと,やはり同意見とのこと。次は鰻が肥えてくる冬にぜひ行きたい。

草月ホールでの電子音楽の夏

 ふたつ下のメモで書いた話の続き。初めて聴く黛敏郎「素数の比系列による正弦波の音楽」は,これを音楽というべきかどうか迷ってしまうほど実験の範疇にしか思えないまさに前衛作品。ただ,古いテープ作品ということもあって,ヒスノイズが耳障りなのが残念だった。「ミュージック・コンクレートのための作品《X,Y,Z》」はきちんとした音響設備で聴くと,耳に気持ちよく今までとは違った感銘を受ける。商品化希望。
 武満徹の「テープのための《水の曲》」では曲に合わせ観世のシテ方が仕舞を舞う演出。能は極度に抽象化を推し進めた前衛的な舞台芸術なので,この手の音楽にぴったり合う。あと,まったく期待していなかった坂本龍一の「個展」は,一柳慧や湯浅譲二などの先駆者と比べてもかなりまじめにがんばっている感じでgood。

[追記]
 この時点で,黛敏郎,諸井誠,シュトックハウゼンの曲が収められている『音の始源(はじまり)を求めて―塩谷宏の仕事―』が発売されており,後日筆者も入手することができた。

カトリーヌ・ドヌーブと中村雅俊

 『シェルブールの雨傘』のリバイバル上映を見に行ったとき,あの有名なテーマ曲を聴いてどこか別のところで聞いたことのあるメロディだなあと思っていた。その後,中村雅俊の長男が大麻所持かなにかで逮捕されたときに中村雅俊の「ふれあい」が流れてきて,サビの部分にかかった瞬間「ん,これってシェルブールの雨傘では…」。サビが全労済のテレビCMで使われていて記憶の底に残っていたらしい。

黛敏郎,電子音楽

 筆者はエレクトロポップ,テクノ,エレクトロニカと電子音楽好きだが,一方でニュースやコマーシャルなどの商業音楽もけっこう好きだったりする。5秒から30秒程度の短い時間で,耳に残るキャッチーなメロディをつくるのは職業作曲家の独擅場だろう。下にも書いたたかしまあきひこ(高島明彦)のドリフターズ関連の音楽,「産経テレニュース」「スーパータイム」「ニュースレポート」などフジテレビのニュースのジングルは印象に残っている。今でも日曜日に「産経テレニュース」でブラスの不協和音を聞くと,「いかにもニュース番組」といった趣を受ける。

 不協和音とニュース番組といえば黛敏郎もはずせない。数年前までUHF局で流れていた「朝日フラッシュニュース」のファンファーレ,そして筆者が小学生の頃耳にしていた「NNNニュースのテーマ」が代表的だ(日本テレビのプロレス中継や野球中継のテーマも黛敏郎作曲)。特に後者はニュース番組用に5秒から20秒に尺が調整されているけれど,フルで演奏すると90秒ほどあり激しいティンパニ,ゆったりとした中間部から最後のメインメロディに駆け上っていくあたりが黛敏郎らしい。

 黛敏郎は言わずとしれたミュジーク・コンクレートや電子音楽の第一人者で,当時の作品を聞くと今聞いてもかなり新鮮。以前,科博で開催されてた「1970年 大阪万博の軌跡」に行ったとき,見たくてしょうがなかった太陽の塔の内部,生命の樹を再現するコーナーがあった。もちろん音楽は黛敏郎(交響曲「生命の讃歌」)。バーバリズムを思わせるティンパニの連打に岡本太郎デザインのサイケデリックなオブジェ。国費で前衛をやるたあたいしたもんだ。

 その黛敏郎の電子音楽は現在入手するのが容易ではなく,今夏「〈東京の夏〉音楽祭」で武満徹・諸井誠などと一緒に聞くことができるのはうれしい限りだが,ダムタイプなどの音楽を手がける池田亮司のインスタレーションが東京都現代美術館で展示されていたので,一足先に現在の電子音楽を聞いてきた。あいかわらず,高周波,パルス音とホワイトノイズをメインに構成され,京都で見た「OR」,初台のNTTインターコミュニケーションセンター(ICC)でのインスタレーション展示などダムタイプを思い出した。ダムタイプや池田亮司のCDはいろいろ持っているが,音響効果が計算された空間で聞くとまた違う。草月ホールで聞く黛敏郎の電子音楽は果たしてどのように聞こえるか。

シンクロニシティ

 動画投稿サイトの一部で板東英二がアツい。板東英二といえばあまり野球に興味のない筆者でも知っている「燃えよドラゴンズ」が有名で,動画投稿サイトにもよくアップされている。筆者が好きなつボイノリオの「名古屋はええよ! やっとかめ」も山本正之作曲で,「燃えよ~」と曲の雰囲気がよく似ている。

 昨年の大晦日,テレビ東京で「年忘れ にっぽんの歌」を新宿コマ劇場の最終ステージとして放送していたのを見ていた筆者は驚いた。ゴールデンタイムに堂々とコマ劇場の舞台で笑福亭鶴光が「うぐいすだにミュージックホール」を歌い始めたからだ。しかも,あのナレーションつきで。実はこの曲も山本正之の作曲だった。

 今年リメイクされた映画『ヤッターマン』では当時の主題歌・挿入歌なども昔のまま使われており,筆者にとっては非常に懐かしい。これらも山本正之の曲だ。なにやら,すべてが山本正之に収斂していくような気がする一方,どれを聞いても山本正之節なのがおかしい。